月1万円つみたてNISA 暴落時こそ冷静に 市場変動時の資産形成の考え方
月1万円つみたてNISAでも直面する市場変動への向き合い方
月1万円という少額からつみたてNISAを始められることは、資産形成の第一歩を踏み出す上で大きなメリットです。しかし、投資である以上、市場の価格は常に変動します。時には大きく下落する、いわゆる「暴落」を経験することもあるかもしれません。
このような市場変動に直面した際に、どのように考え、行動すべきかを知っておくことは、長期的な資産形成を成功させるために非常に重要です。特に、初めて投資を行う方にとっては、評価額が減少する状況は不安を感じやすいものです。
この記事では、月1万円でつみたてNISAを続ける中で市場変動にどう向き合うべきか、冷静さを保つための考え方と実践的な視点をご紹介します。
市場変動は投資の「日常」である
まず理解しておくべき点は、市場の価格は常に変動するものであり、上昇も下落も投資においては日常的な出来事であるということです。株価や投資信託の基準価額は、企業の業績、経済全体の状況、政治的なニュース、あるいは投資家の感情など、様々な要因によって日々、あるいは時間ごとに変動しています。
特に、世界経済全体に投資するようなファンドの場合、国内外の様々な出来事の影響を受けやすく、時に大きな価格変動(ボラティリティ)を伴います。重要なのは、こうした変動は予測が困難であり、完全に避けることはできないという事実を受け入れることです。
月1万円の積立投資と市場変動の特殊性
月1万円という少額であっても、積立投資を行う上で市場変動への対応は避けられません。しかし、少額積立には市場変動に対して有利に働く側面があります。それが「ドルコスト平均法」の効果です。
ドルコスト平均法とは、毎月決まった金額を投資に回す手法です。これにより、価格が高い時には購入量が少なくなり、価格が低い時には購入量が多くなります。長期的に見れば、価格の変動リスクを分散させ、平均購入単価を抑える効果が期待できます。
市場が下落している局面は、このドルコスト平均法の効果が特に発揮される時期と言えます。同じ1万円でも、より多くの口数を購入できるため、その後の市場回復時には大きなリターンに繋がる可能性が高まります。つまり、暴落は長期的な視点で見れば「安く仕込めるバーゲンセール」のような機会と捉えることもできるのです。
暴落時こそ冷静さを保つための考え方
市場が大きく下落すると、含み損が膨らみ、不安を感じて「今すぐに売却してしまいたい」という衝動に駆られることがあります。しかし、多くの場合、この衝動的な行動が長期的な資産形成の妨げとなります。
暴落時こそ冷静さを保つために、以下の点を思い出してください。
- 評価額は一時的なもの: つみたてNISAの画面に表示される評価額は、その時点での資産価値であり、売却しない限り損失は確定しません。長期投資においては、短期的な価格の上下に一喜一憂せず、最終的なゴール(老後資金の準備)に焦点を当てることが重要です。
- 積立は継続が力: 市場が下落している時こそ、淡々と積立を続けることで、前述のドルコスト平均法の恩恵を最大限に受けられます。積立を止めてしまうと、安値で仕込める貴重な機会を逃してしまいます。
- 長期投資の回復力: 歴史を振り返ると、市場は様々な危機(経済恐慌、バブル崩壊、リーマンショックなど)を経験してきましたが、長期的に見れば回復し、成長してきました。もちろん、過去のパフォーマンスが未来を保証するものではありませんが、市場が本質的に持つ回復力を理解しておくことは、暴落時の不安を軽減する助けとなります。
市場変動時に「やってはいけないこと」と「やるべきこと」
市場変動に直面した際に、特に避けるべき行動と、取るべき行動を整理します。
やってはいけないこと:
- 感情的な売却: 損失が怖い、さらに下がるかもしれない、といった不安から慌てて売却することは、多くの場合、損失を確定させてしまい、その後の回復に乗ることができなくなります。
- 積立の一時停止・金額減額: 市場が安い時に積立を止めることは、ドルコスト平均法の最大のメリットを放棄することになります。経済的に本当に困難な状況でなければ、積立の継続を検討すべきです。
- 頻繁な情報チェックと過剰な反応: 常に資産状況を確認し、ネガティブなニュースに過剰に反応すると、感情的な判断を招きやすくなります。必要以上に情報を追いすぎないことも大切です。
- 短期的なトレードへの傾倒: 暴落を利用して短期的な売買で利益を得ようとするのは、専門家でも難しい行為であり、つみたてNISAの長期・積立・分散という基本戦略から外れます。
やるべきこと(または考えるべきこと):
- 設定した方針の再確認: なぜつみたてNISAを始めたのか、老後資金という長期的な目標は何だったのかを思い出してください。短期的な変動に惑わされず、長期的な視点を維持します。
- 淡々と積立を継続: これが最も重要で効果的な対応策の一つです。設定した金額での積立を機械的に続けることが、ドルコスト平均法のメリットを最大限に引き出します。
- ポートフォリオの確認(変更は慎重に): 自分が投資しているファンドが、当初の目的やリスク許容度に合っているかを確認します。ただし、市場が大きく変動している最中に感情的にポートフォリオを大きく変更することは推奨されません。変更は冷静な時に、長期的な視点で行うべきです。
- つみたてNISA制度のメリットを再認識: 税制優遇という最大のメリットは、市場が変動しても変わりません。非課税で長期運用できることの価値を再確認します。
まとめ
月1万円から始めるつみたてNISAによる資産形成において、市場変動や暴落は避けて通れない道です。しかし、これを恐れる必要はありません。積立投資が持つドルコスト平均法の効果を理解し、暴落時こそ長期的な視点と冷静さを保ち、淡々と積立を継続することが、結果として老後資金を無理なく着実に作ることに繋がります。
市場の動きに一喜一憂せず、最初に設定した目標と積立計画を信じて続けること。これが、変動の時代を乗り越え、着実に資産を育てるための鍵となります。